今回の事件は50年に渡り、夫からのDVに苦しめられた女性が夫を殺害した事件です。
殺人はもちろん法律で禁止されている事であり、やってはいけない事ですが、追い込まれた人に対して情状酌量を検討すべきではないかとも思える事件です。
事件の概要
本件は83歳の夫を76歳の妻がノコギリで殺害するという事件でした。
妻が25歳の時に結婚し、2人の子供に恵まれましたが、夫は酒とパチンコに金を使い、生活費に困窮する事になりました。
夫に生活費をなんとか出して欲しいと頭を下げると渡されますが、暴言や暴力にまみれた毎日だったようです。
結婚前には経理などで仕事をしており、資格も持っていたので再就職も試みますがなかなか縁に恵まれず、スーパーのパートなどで何とか2人の子供を育て上げました。
やっと離婚が成立したのが、子供が成人したタイミングで彼女は自由を獲得しました。
しかし、彼女の自由はたった6年で打ち壊されます。
元夫が栄養失調で介護が必要となりました。施設を入れようとしたのですがアルコール依存症患者を受け入れてくれる施設はありませんでした。
そのため、妻は再婚をして面倒を見ることになりました。
面倒を見てもらっているにも関わらず、夫は暴言を吐き続けました。
夫は自身でもトイレに行けるほどには回復をしましたが、ゲラゲラ大声で笑ったり、奇声をあげたりしていました。
そんな生活はその後17年間続きました。
まれに、妻の子供は孫を連れて会いに行ったり買い物に連れ出すなどをして妻の息抜きをしていましたが、残念ながらコロナの影響でその機会も無くなる事になりました。
そしてある日、息子が不在のタイミングを狙って夫の殺害を実行します。
凶器はノコギリと決めたようです。
理由は、ノコギリであれば確実に殺せると考えたことと、家には包丁がなかったことです。
DVの家で女性が包丁を隠し、捨てるのは珍しくないようです。
実際、以前に何度か包丁を向けられたことがありました。
妻は自首をし、再犯の可能性も限りなく低いと思われますが、情状酌量はされず8年の実刑判決となりました。
最後に
今回の事件で妻は、夫の殺害に対して「後悔はない」と一貫して意見は変わりませんでした。
この事件に於いては当時の時代背景やDVという概念が無かったことで、周囲からの助けや自分自身からも助けを求めるということが無かったのでしょう。
溜まりに溜まった不満を爆発させてしまい、ついには自身の手を染めるという凄惨な結果になってしまいました。
人生は一度きりです。自分の幸せをまずは第一に毎日を過ごすようにしましょう。