さて、先日個人的なファンである落語家の春風亭一之輔さんが笑点の新メンバーとなった。
彼のやる落語は特に夫婦モノが上手く、奥さん役をやるときはピカイチに上手いんじゃないかとすら思う。
男女モノ夫婦モノは噺の流れでやきもちを焼いたり、嫉妬したり浮気したりする描写は多々あるが、とりわけ凄惨な噺に、上方落語の「大丸屋騒動」という噺がある。
場所は京都祇園。大店の若旦那宗三郎 と舞妓おとき が恋仲であったが、身分の違いで親戚一同の反感を買い、離れ離れとなる。親戚一同を彼の兄が説得しようと駆け回るが、若旦那は悶々とした日々を床の間の刀と共に過ごしていた。
しかし、実は刀の正体は「妖刀村正」。宗三郎は次第に村正の持つ魔力に魅かれていく。
ある日、どうしても舞妓おときに会いたくなった宗三郎は村正を持ち出し、おときのもとへと駆ける。
おときは宗三郎と対面するが、宗三郎と会っていては二人の婚約がうまく行かないと思ったおときは宗三郎を追い払おうとする。
おときに振られたと勘違いした宗三郎は持っていた村正でおときを切りつける。
気がふれた宗三郎は止めに入った女中をも切りつけ、通りに出て往来の民衆すらもズバズバと切っていく。
伏見に住む兄が現場へ駆けつけると、宗三郎は兄を切りつける。しかし、兄にはかすり傷一つつかない。
不思議に思った役人が「こりゃ。その方は何やつか。」と尋ねた。すかさず「へい。私めは、切っても切れぬ伏見(不死身)の兄にございます。」
という噺。
先日起こった、博多駅前の川野美樹さんの事件もそうだが、いかんせん男という生き物は独占欲が強いもので、そのうえ変なところにプライドを持っていたりする。これは個人的な体感だが、浮気調査の依頼者でも、案外長時間の契約を結ぶのは男性が多かったりするような気がする。
嫉妬深いのは男のほうなのかもしれない。ま、どんな関係も相互リスペクトが大事なのではないだろうか。