【あの事件は今!Vol.3】一斗缶事件
「一斗缶事件はなぜ謎を残したまま解決とされたのか。その全容を調査!」
大阪市天王寺区の公園などで切断遺体が入った一斗缶(18リットル缶)3つが見つかった事件で、大阪府警天王寺署捜査本部は2011年8月23日に、現場近くのマンションに住む同区東高津町 無職・藤森康孝容疑者(57)を死体遺棄容疑で逮捕した。
遺体は同容疑者の妻と長男と判明。
2011年8月14日の朝、大阪市天王寺区の公園で清掃活動をしていた男性が人の足首や頭部が入った一斗缶を発見。一斗缶は植え込みに立てかけるように置かれ、ビニールテープでフタが固定されていた。同日午後に近くの路上で手首などが入った第二の一斗缶が、翌15日には近くのゴミ捨て場から左足首が1つ入った第三の一斗缶が発見された。
と、これが事件の概要だが、一斗缶発見から遡ること5年。同容疑者は2006年5月、「妻と長男が4月に失踪した。原因や動機は分からない」と自ら天王寺署に届け出ていた。捜査本部は遺体DNA鑑定の結果などから、妻(失踪届け出当時46)と、長男(同21)と特定した。
捜査本部によると、同容疑者は「妻は出て行ったきりで、何処でどうしているか知らない」と供述。約1年前から3つ目の缶が見つかったごみ置き場に隣接するマンションに住んでいたという。逮捕容疑は妻の死体の一部を一斗缶に詰め、同区東高津町の「東高津公園」など三か所に遺棄した疑い。一斗缶は夏以降に遺棄されたとみられるという。
司法解剖の結果、1つ目の缶にあった頭部は40~50代ぐらいの男性としていたが、その後の捜査で同容疑者の妻のものと判明。左右の手は同容疑者の長男のものとも判明。
妻と長男に対する殺人と死体遺棄の罪に問われた無職、藤森康孝被告(59)に対する7月17日の判決は、妻について殺人罪ではなく傷害致死罪を適用し、懲役28年(求刑無期懲役)を言い渡した。「遺体を一斗缶に入れて遺棄するのは異常」と犯人性を指摘しながら、動機や犯行の経緯は不明のままだった。大量の血痕から長男の殺害は認定したが、「証拠はほとんどない」と妻への殺意は認定できなかった。
同被告は「一斗缶なんて捨てた覚えがない」と否認している。
【取材における近隣住民の談話】
・長年、現場付近で薬局を営んでいるが近所でバラバラ殺人事件があって恐怖を感じた。
・あれだけの事件なのに、警察の捜査もあっけなく終わり裁判の判決も懲役28年だったことが不思議だ。
・ちょうど事件当時の少し前から近辺で会社勤めをしていて、一斗缶発見現場の公園が昼食の場所だったので、早く解決して良かったです。
この事件で同被告の次男が、大阪府警に「両親は金銭面でよくもめていた」と証言している。また夫婦げんかの際、長男は母親をかばって藤森容疑者と対立していたという。
【事件の不審点及び考察】
当時の勤務先の製薬会社に遺体を運び、電動のこぎりで切断したという。
1)2人の遺体を自宅で切断。
2)元勤務先の倉庫で更に小さく切断。
3)一斗缶4個に詰め、更にダンボールに入れて倉庫で3年間保管。
4)退職時に一斗缶をタクシーで自宅に持ち帰る。
5)今年、7月下旬に遺棄した。
1)の遺体の切断の前後に被告は選択を迫られたはず「遺体をどう処理するのか?」を。
そして、たどり着いた結論は勤務先の倉庫で保管する事。
その場合に、灯台下暗しとの原理に習い、会社で使っていた一斗缶に入れて保管する事にした。
その為には遺体を一斗缶に入るサイズに小さくせばならない。
しかし都合良く、切断に使える電動ノコギリもあった…と
このような考察を立てることが出来るが、二つほど疑問がある。
イ)2人分の遺体が一斗缶4缶に収まるのか?
ロ)27度に温度管理された倉庫だが、遺体は腐敗するはずで異臭は誰も気付かなかったのか?
倉庫で保管する場合の問題として管理体制が杜撰であると言わざるを得ない。
倉庫の管理者・入出庫の担当者など普段倉庫に出入りしている者は気付かなかったのだろうか?「棚卸し」などで遺体が露見、若しくは臭いで発覚する可能性は高い。
本来存在しないはずの「物品」は棚卸しリストにも記載が無いはずで気付かなかった可能性も否めないが…
(被告人の自宅マンション・一斗缶遺棄現場)
如何せん謎ばかり深まるこの事件だが、「消えた遺体の一部」が発見された時、事件解明に光明が差す事になりそうだ。